KING CRIMSON『ポセイドンのめざめ』確かに『クリムゾン・キングの宮殿』は凄いアルバムだとは思う。けれど、私はあえてというか、2作目の『ポセイドンのめざめ』のほうが親しみがあって好きだ。 『クリムゾン・キングの宮殿』を買って、家に持ち帰りターンテーブルにこのLPを乗せたときのワクワク感は忘れない。まずロック雑誌に載っていたジャケットのデザインが度肝を抜いた。ジャケット一杯に拡がった真っ赤な顔面、口をまっぴらき、喉ちんこが丸見え、鼻の穴はおっぴらいていて、まるでムンクの《叫び》のようだった。 《ビートルズの『アビー・ロード』を抜いてアルバム・チャートのトップの座からひきずり降ろしたアルバム》このコピーだけでも充分すぎる。ましてや、この凄いジャケットの絵。いったいどんな音のするロックなんだろうかと期待が膨らんだ。ラジオとかではけしてかからない曲でもあったし……… そして一曲目の「21世紀の精神異常者」がかかる。♪ジャージャジャジャンジャー、ダーダーダー♪(乏しい表現ですみません)の大音響。ガビーン私完全にノックダウンしたのでした。噂どおりのモノスゲーアルバムだった。 他にも「トーク・トゥ・ザ・ウインド」や「エピタフ」は「21世紀の精神異常者」と違いナチュラルな曲で良かったのだけど、何度も聴いているうちに大げさなアレンジやシンプルさに飽きてしまったのも事実です。 『ポセイドンのめざめ』も曲の構成、展開などは『クリムゾン・キングの宮殿』に似通っているところがあるとはいえ、「冷たい街の情景」での各楽器のインプロビゼーションはこちらのほうが聴き応えがあります。ロバート・フリップのきめ細かいギターリフや、サックス奏者のメル・コリンズのフリージャズ風の演奏にドラムスのマイケル・ジャイルスのパワフルではない、軽やかなドラミングが良いのです。 「ケイデンスとカスケイド」ではしっとりしたフルートやエレキピアノが聴ける。落ち着いた曲調は癒されます。 タイトル曲の「ポセイドンのめざめ」。グレッグ・レイクのヴォーカルが切なくて美しすぎる。バックに流れるメロトロンがとろけそうで最高です。ジーンときて涙が出そうになる曲です。 「キャット・フード」はジャズセッション風だ。キース・ティペットのピアノ、グレッグ・レイクのヴォーカルとマイケル・ジャイルスのドラムス、ピーター・ジャイルスのベースの絡みが緊張感を生んでいて、ゾクゾク。 ホルストの《火星》をモチーフにした組曲風の「デビルス・トライアングル」、アルバム一番の幻想的な曲。完成度が高い。 ラストを飾る「平和・終章」はホッとするようなアコースティック・ギターにグレッグ・レイクのソロヴォーカルが乗って締めくくる。余韻を楽しみながら「良い音楽をきいたなぁー」という気分にさせてくれます。 このように『クリムゾン・キングの宮殿』に比べて『ポセイドンのめざめ』は聴き応え充分で飽きさせない。 ジャケットも神秘的でクリムゾンのアルバムの中でも一番好きかもしれないです。 ジャンル別一覧
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